この記事の結論
在宅勤務でWi-Fiが遅い・会議が切れるとき、回線を乗り換えて直るのは原因の一部だけです。
多くは宅内のWi-Fi環境か、会議アプリ側の設定で解決します。契約を変えてから「同じだった」となると、工事費と手間と数年の契約が無駄になります。先に切り分けてください。
まず3分で切り分ける
やることは1つ、測る場所を変えて3回測るだけです。
| 測り方 | 見るもの |
|---|---|
| PCを有線LANでルーターに繋いで測る | 回線そのものの実力 |
| 同じ場所でWi-Fiで測る | Wi-Fi区間の劣化 |
| スマホのテザリングで測る | 固定回線以外での比較 |
測るときの条件は2つです。会議が実際に切れる時間帯に測ることと、上り(アップロード)を見ること。速度測定サイトは下りを大きく表示しますが、会議中は自分の映像と音声を送り続けているので、体感を決めるのは上りです。
目安は Zoom が公式に示している推奨帯域で、一番重い1080pのグループ会議でも上り3.8Mbpsです。1Gbpsの回線は必要ありません。
結果の読み方
| 測定結果 | 原因 | やること |
|---|---|---|
| 有線は十分、Wi-Fiだけ遅い | 宅内のWi-Fi環境 | 下の対策へ。乗り換えても直らない |
| 有線でも上りが足りない | 回線側 | 乗り換えの検討に入る |
| 時間帯で大きく変動する | 共用設備の混雑 | 建物内の方式を確認。乗り換え候補あり |
| どの接続でも不安定 | PC・アプリ・相手側 | アプリ設定とVPNを疑う |
乗り換えで解決するのは真ん中の2つだけです。
有線でも遅いとき、回線の前に疑うところ
有線で測って遅い場合でも、回線が原因と決める前にPCとルーターの間を見てください。ここで頭打ちになっていることがあります。
| 確認するところ | 問題になる状態 | 対処 |
|---|---|---|
| LANケーブルの規格 | カテゴリ5(CAT5)は100Mbpsまで | CAT5e以上に替える。規格はケーブル側面に印字されている |
| ルーターのLANポート | 古い機種や安価な機種は100Mbps止まり | 仕様表で「1000BASE-T」の記載を確認する |
| 途中にハブを挟んでいる | ハブ側が100Mbps対応 | ギガ対応に替えるか、ルーターに直結する |
| ONU・ルーターの連続稼働 | 長期間電源を入れたままで不安定になる | 一度電源を抜いて数分置き、入れ直す |
会議に必要な上りは数Mbpsなので、100Mbpsで足りないことはまずありません。ただし上限が100Mbpsに固定されていると、同居人の動画やダウンロードと取り合ったときに一気に苦しくなります。回線を速いものに変えても、ここが100Mbpsのままなら体感は変わりません。
「遅い」のか「切れる」のかを分ける
この2つは原因が違います。切れる場合に見るべきは速度ではなくパケット損失です。速度測定サイトでは損失は分かりません。
会議が切れる時間帯に、OSのpingコマンドを実行します。
- Windows: コマンドプロンプトで
ping -n 50 8.8.8.8 - Mac: ターミナルで
ping -c 50 8.8.8.8
結果の最後に出る損失(packet loss)が0%でないなら、それが切断の原因です。
- Wi-Fiでは損失が出て、有線では0% → Wi-Fi区間の問題。位置・帯域・機器を見る
- 有線でも損失が出る → 宅内機器か回線側。ケーブルとルーターを替えて切り分ける
Wi-Fiが原因のときの対策
上から順に、効果が大きく手間が小さいものです。
ルーターの位置を変える
床置き、テレビの裏、金属ラックの中、水槽の近くは電波が弱くなります。部屋の中央・床から1m以上・遮蔽物なしが基本です。位置を変えるだけで改善することは珍しくありません。
5GHz帯に繋ぐ
多くのルーターは2.4GHzと5GHzの2つを飛ばしています。2.4GHzは壁に強い代わりに、電子レンジやBluetooth機器と干渉して不安定になりがちです。会議に使うPCは5GHz側のSSIDに繋いでください。ルーターと同じ部屋にいるなら5GHzが有利です。
集合住宅ならチャネルの混雑を疑う
マンションやアパートでは、近隣の電波と同じチャネルを使っていて遅くなることがあります。とくに2.4GHzは使えるチャネルが少なく、混みやすい帯域です。
ルーターの設定画面で、チャネルを自動から手動に変えて空いているものに固定すると改善することがあります。どのチャネルが混んでいるかは、スマホのWi-Fi解析アプリで見えます。ただし5GHzはチャネル数が多く干渉しにくいので、先に5GHzを試すほうが早いです。
同居人の使用と重なっていないか見る
動画の視聴やゲーム機のアップデートが重なると、会議に回る帯域が減ります。会議中だけでも止められるなら、それが一番早い解決です。
ルーターの世代を確認する
数年以上前の機種は、同時接続台数が増えると処理が追いつかないことがあります。買い替えで直る場合、回線契約を変えるより安く済みます。
有線に切り替える
確実なのはこれです。会議用のPCだけでもLANケーブルで繋げば、Wi-Fi起因の問題は消えます。距離があるなら、壁を這わせるフラットケーブルで届くことも多いです。
中継機とメッシュのどちらを足すか
電波が届かないことが確定したときの選択肢です。
| 比較項目 | 中継機 | メッシュ |
|---|---|---|
| 費用 | 安い | 高い |
| 仕組み | 電波を中継して届く範囲を伸ばす | 複数台で1つのネットワークを作る |
| 速度 | 中継のたびに落ちやすい | 落ちにくい |
| 移動したとき | 手動でSSIDを切り替える機種がある | 自動で切り替わる |
| 向くケース | 会議する場所が1か所に決まっている | 家中で使う、3LDK以上、2階建て |
ただし会議する席が決まっているなら、どちらを買うよりもLANケーブル1本のほうが安く確実です。
会議アプリ側の要因
回線に問題がなくても切れる場合があります。
- カメラの解像度を下げる。HDをオフにするだけで必要な上りが下がります
- 仮想背景・ぼかしを切る。PCの処理負荷が下がり、映像の乱れが減ります
- VPNを経由していないか確認する。会社のVPN越しだと経路が伸びて遅延が増えます
- 相手側の環境が原因のこともあります。特定の人との会議だけ切れるなら自分側ではありません
会社支給PCでVPNを外せないとき
VPNが遅延の原因だと分かっても、会社のポリシーで切れないことがあります。できるのは次の2つです。
- 会議アプリだけVPNの外を通す設定(分割トンネル)が許可されているかを情報システム部門に確認する
- VPNを使う作業と会議の時間を分ける。常時接続にしない運用が許されるなら効果があります
どちらも判断するのは会社側なので、自分の回線を疑う前に一度確認してください。ここが原因なら、回線を乗り換えても直りません。
それでも直らないときは回線を見る
有線でも上りが足りない、時間帯で大きく変動する。この2つに当てはまるなら、回線の乗り換えが有効な手段です。
選び方と実質月額の比較はテレワーク・在宅勤務におすすめの光回線にまとめています。工事の日程が読めない場合は、引っ越し後すぐネットを使う方法で扱っている工事不要の手段をつなぎに使う選択肢もあります。
よくある質問
会議に必要な速度はどれくらいですか
一番重い1080pのグループ会議でも上り 3.8Mbpsです。1Gbpsの回線は必要ありません。見るべきは下りではなく上りで、測るのは会議が実際に切れる時間帯です。深夜の測定値は参考になりません。
速度は出ているのに会議が切れます
速度ではなくパケット損失を見てください。切れる時間帯に ping -n 50 8.8.8.8(Mac は -c 50)を実行し、損失が0%でなければそれが原因です。速度測定サイトでは損失は分かりません。
有線にしたのに遅いです
PCとルーターの間で頭打ちになっていることがあります。LANケーブルがカテゴリ5だと100Mbpsまでで、ルーターのLANポートが100Mbps止まりの機種もあります。仕様表で「1000BASE-T」を確認してください。
ルーターは買い替えるべきですか
先に位置の変更と5GHzへの接続を試してください。費用ゼロで改善することがあります。それでも駄目で、同時接続台数が増えると不安定になるなら、買い替えの効果があります。回線契約を変えるより安く済むことが多いです。
中継機とメッシュはどちらがいいですか
会議する席が1か所に決まっているなら、どちらも買わずにLANケーブル1本のほうが安く確実です。家中で使う、3LDK以上、2階建てならメッシュ、使う場所が固定なら中継機で足ります。
会社のVPNが遅い場合はどうすればいいですか
自分の回線を疑う前に情報システム部門に確認してください。会議アプリだけVPNの外を通す設定(分割トンネル)を許可するかどうかは会社の判断です。ここが原因なら、回線を乗り換えても直りません。
注意
通信品質はエリアや宅内環境で個人差があります。機器の設定変更は取扱説明書を確認のうえ行ってください。