テレワーク回線で本当に見るべきこと
「下り最速」より、会議中に切れないことの方が重要です。目安として、同時利用人数・上り・Wi-Fi環境・実質コストの順で見ます。
ビデオ会議に必要な速度は、実は速くない
先に数字を見ておくと、回線選びの基準が変わります。Zoom が公式に推奨している帯域は次のとおりです。
| 使い方 | 上り | 下り |
|---|---|---|
| 1対1ビデオ通話(高品質) | 600kbps | 600kbps |
| グループビデオ通話(高品質) | 1.0Mbps | 600kbps |
| グループビデオ通話(720p HD) | 2.6Mbps | 1.8Mbps |
| グループビデオ通話(1080p HD) | 3.8Mbps | 3.0Mbps |
| 画面共有(サムネイルあり) | 50〜150kbps | 50〜150kbps |
| 音声のみ | 60〜80kbps | 60〜80kbps |
一番重い 1080p のグループ会議でも上り 3.8Mbpsです。つまりビデオ会議のためだけなら、1Gbps の回線は必要ありません。
それでも会議が切れるのは、帯域の絶対値が足りないからではなく、必要な帯域を常に確保できていないからです。見るべきは最大速度ではなく、混雑時帯の安定性と上りの余裕です。
上りが軽視されがちな理由
広告はほぼ下りの最大速度を謳います。しかし会議中は自分の映像と音声を送り続けているので、体感を決めるのは上りです。同居人が動画を見ていると下りは使われますが、会議が壊れる主因は上りの詰まりとパケットロスです。
集合住宅で共用設備を共有するタイプの回線は、夜間や平日日中にここが細ります。契約前に「建物内でどの方式になるか」を確認してください。
いまの回線で足りているかを先に測る
乗り換えの前に、今の環境が上の表の値を満たせているかを確かめます。ここを飛ばすと、回線を変えても直らないことがあります。
見るのは下りではなく上り
速度測定サイトは下りを大きく見せますが、見るべきは上り(アップロード)です。目安は先の表のとおり、一番重い 1080p のグループ会議で上り 3.8Mbps です。
測るときは次の条件を揃えてください。
- 会議が実際に切れる時間帯に測る(夜や平日日中など)。深夜の測定値は参考にならない
- 同居人がいるなら普段どおり使っている状態で測る
- 有線LANと Wi-Fi の両方で測って比べる
数字の読み方
| 測定結果 | 判断 |
|---|---|
| 有線で上りが十分、Wi-Fi だけ遅い | 回線ではなく宅内の Wi-Fi 環境の問題。乗り換えても直らない |
| 有線でも上りが足りない | 回線側の問題。乗り換えの検討に入る |
| 時間帯によって大きく変動する | 共用設備の混雑が疑われる。建物内の方式を確認する |
| スマホのテザリングだと安定する | 固定回線か宅内環境のどちらか。上の2つで切り分ける |
| どの接続でも不安定 | PC側アプリ、VPN、相手側のサーバーも疑う |
乗り換えで解決するのは「有線でも上りが足りない」と「時間帯で大きく変動する」の2つだけです。それ以外は契約を変えても同じことが起きます。月々の料金と工事の手間をかける前に、ここを切り分けてください。
光回線を選ぶときの基準
上り速度
カメラONの会議・画面共有・クラウドアップロードが重い家は、上りも確認します。公称値だけでなく、同居人の利用も加味します。
実質月額
在宅勤務が続くなら、24か月の実質コスト差は無視できません。比較表で候補を絞り、そのあとエリアと開通日数を見ます。
比較表: https://comminucation.org/hikaku
契約期間は実質月額とセットで見る
在宅勤務が続くなら、回線は長く使うことになります。そのとき注意が要るのが、契約期間が長いプランは実質月額が安く見えることです。
事務手数料や工事費といった一回性の費用を、契約月数で割ってならすためです。同じ金額でも 36か月で割る方が 24か月で割るより1か月あたりの負担は小さく出ます。数字が安いからといって、その期間使い続ける前提が自分に合うかは別の話です。
比較表には各プランの契約期間を列として出しています。実質月額を見るときは、必ずその隣の期間も一緒に見てください。
工事不要の無線を主回線にしていいか
ホームルーターなら工事待ちがなく、すぐに使い始められます。テレワークの回線としてこれを選んでいいのか。
判断材料は2つです。
一つは、先に見たとおり会議に必要な帯域自体は小さい(1080p のグループ会議で上り 3.8Mbps)こと。帯域の絶対値だけなら無線でも届きます。
もう一つは、ホームルーターはどのサービスもベストエフォート方式で、利用が集中する時間帯は速度が落ちると公式に明記されていることです。
この2つを重ねると、問題になるのは平均速度ではなく会議中に必要な帯域を常に確保できるかです。平日日中は周囲も在宅している時間帯で、ちょうど混雑が起きやすい時間と重なります。
| 使い方 | 工事不要の無線は適するか |
|---|---|
| 工事待ちの間のつなぎ | 適する。工事枠が埋まる時期でもすぐ始められる |
| 会議が月に数回、かつ重要度が低い | 提供エリアが良ければ選択肢になる |
| 会議が業務の中心 | 有線で使える光回線が無難。混雑時の低下を自分では逃げられない |
つまりつなぎには合理的、主回線にするなら条件付きです。工事の日程が読めないなら、先に無線でつないでおいて、平行して光回線を申し込むという進め方が現実的です。
つなぎとして使うなら、端末代を何か月背負うことになるかを先に見てください。SoftBank Air は端末 95,040円を月月割で最大48か月かけて相殺し、BIGLOBE WiMAX +5G は 33,264円を 36回分割または一括です(税込・2026年9月22日確認)。光回線が開通したらやめるつもりなら、端末代の安い方か、レンタルですむ方が損をしません。
BIGLOBE WiMAX +5G の提供エリアと料金を確認する
具体的な選択肢と端末代の扱いは賃貸で工事ができない人へで比較しています。
工事と開通スケジュール
重要会議が続く月に工事立ち会いが入ると負担が大きいです。引っ越しや繁忙期は、仮回線(ホームルーター等)の併用も現実的です。
おすすめの進め方
- いま遅い原因を切り分ける(有線テスト)
- 実質月額で候補を2〜3に絞る
- 提供エリアと開通目安を公式で確認
- 必要なら仮回線を先に確保してから切替
よくある質問
ビデオ会議に1Gbpsの回線は必要ですか
必要ありません。Zoom の推奨帯域は、一番重い 1080p のグループ会議でも上り 3.8Mbps です。会議が切れる原因は帯域の絶対値不足ではなく、必要な帯域を常に確保できていないことです。最大速度ではなく、混雑時の安定性を見てください。
回線を乗り換えれば会議が切れなくなりますか
直るのは「有線でも上りが足りない」と「時間帯で大きく変動する」の2つだけです。有線では十分で Wi-Fi だけ遅い場合は、契約を変えても同じことが起きます。先に有線と Wi-Fi の両方で、実際に切れる時間帯に測ってください。
契約期間が長いプランのほうが実質月額が安いのはなぜですか
事務手数料や工事費といった一回性の費用を、契約月数で割ってならすからです。同じ金額でも 36か月 で割るほうが 24か月 より1か月あたりの負担は小さく出ます。安く見えるだけで、その期間使い続ける前提が自分に合うかは別の話です。比較表には契約期間を列として出しています。
ホームルーターをテレワークの主回線にしていいですか
会議が業務の中心なら、有線で使える光回線が無難です。ホームルーターはどのサービスもベストエフォート方式で、利用が集中する時間帯は速度が落ちると公式に明記されています。平日日中は周囲も在宅している時間帯で、ちょうど混雑しやすい時間と重なります。つなぎに使うのは合理的です。
会社のVPNで遅くなります。回線を変えれば直りますか
直りません。VPN は経路が伸びるぶん遅延が増えるもので、回線側の問題ではないからです。会議アプリだけ VPN の外を通す設定(分割トンネル)が許可されているかを、情報システム部門に確認するのが先です。
集合住宅では何を見て選べばいいですか
建物内でどの方式になるかです。共用設備を分け合うタイプは、夜間や平日日中に上りが細ります。会議が壊れる主因は上りの詰まりなので、契約前に建物名で提供方式の判定を取ってください。
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注意
通信品質はエリアや宅内環境で個人差があります。料金は公式の最新情報を確認してください。